観光バス会社のはとバス(東京・大田、中村靖社長)が計画していた品川駅周辺の再開発事業が再始動する。オフィスと住居が入る複合ビルを建設する予定で、総事業費は200億円弱を見込む。建設費の高騰を受け、当初予定より事業を縮小し、2019年の完成を目指す。国際拠点を目指す品川地区の立地を生かし、外資系企業や外国人を誘致する。
再開発するのは品川駅港南口から徒歩5分ほどの場所(東京・港)で、敷地面積は約4000平方メートル。かつては同社がバスの車庫として使い、現在は退去済みの共同住宅などがある。建物の解体工事に5月に着手する。
新たな複合ビルは25階建てで、延べ床面積は約3万8000平方メートル。1~2階にはコンビニエンスストアや保育所などが入居し、3~15階はオフィス、16~25階は住居にする計画だ。総事業費の3分の2ははとバス、3分の1は共同事業者の都市再生機構(UR)が負担する。
建物には免震構造を採用し、地震対策を強化。自家発電や貯水などの防災設備も完備する。住居部分は139戸で、間取りは2LDKや1LDKなど単身者向けを中心にする。日本への外国人赴任者らの入居を見込み、高級賃貸住宅としてURが運営する。
13年1月時点の当初計画では27階建ての複合ビルを整備。14年に着工し、17年に完成する予定だった。総事業費は約130億円を見込んでいたが、13年9月に20年の東京五輪開催が決定すると、資材や人件費の上昇で建設コストが高騰。このため、計画の見直しを迫られていた。
品川駅は羽田空港へのアクセスが便利なうえ、リニア中央新幹線の始発駅にもなる。周辺では他の再開発事業も進む。はとバスは品川地区の利便性が今後さらに高まると判断し、再開発に改めて着手することにした。